ヒルドイドとワセリンの違いって?自分に合った使い方についてすっきり解説!

医療

ヒルドイドとワセリン。

2つとも肌の保湿剤として知られていますが、実は使う目的が大きく違うということはご存じでしょうか?

この記事ではヒルドイドとワセリンの違いがしっかり理解できるよう、

・それぞれの特徴
・使うときの注意点
・使い分けのポイント

といった点を分かりやすくお伝えしていきます。

Aさん
Aさん

ヒルドイドとワセリンについて調べるなんて初めて…。

このような方でもカンタンに理解できるよう、記事のなかでは難しい言葉を一切使っていません。

自分に合った保湿剤を選び、近づいてくる冬の乾燥からご自身の肌をしっかり守りましょう!

まずは、「ヒルドイドとワセリン、それぞれどのようなはたらきを持っているのか」を知ることが大切です。

ここを理解しておくと、後の内容も頭にスッと入ってきやすくなりますよ。

ヒルドイドとワセリンのはたらきには、次のような違いがあります。

ヒルドイドとワセリンの違い

ヒルドイド水分を補給する
ワセリン →水分を外に逃がさないようにする

違いは、水分を「補給するか」と「逃がさないようするか」です。

Aさん
Aさん

いやいや、よくわからないよ…。


という方も、ここからさらに詳しく説明していくので安心してくださいね。

「ヘパリン類似物質」を初めて聞いた方もおられるかもしれません。
そのようなときには、言葉を分けて考えてみましょう。

すると、「ヘパリン+類似(似たもの)+物質(もの)=ヘパリンと似たようなもの」と考えることができますね。

ヒルドイドはヘパリンと似たようなものと分かったので、ここからはヘパリンについて説明していきます。

ヘパリンとは

ヘパリンとは、血が固まらないようにはたらく、天然の多糖類の1つです。

多糖類がよく分からなくても、ここでは「糖分がたくさん集まったもの」という認識だけで問題ありません。

そんなヘパリンには、まわりの水分を取り込もうとするはたらきがあります。

ヘパリンのはたらきは、水分を吸収して終わりではありません。

水分を吸収したあと、皮膚の表面に薄い膜をつくります。

ヘパリンはこの薄い膜をつかって、取り込んだ水分が肌から逃げてしまわないようにするバリアを張っているのです。

まとめると、ヘパリンは肌に水分を取り込み、その水分が逃げないようにバリアを作ることで、肌の乾燥を防いでいる、ということになります。

さらに、ヘパリンのもう1つ大事なポイントがあるので押さえておきましょう。

それは、血行を良くしたり、炎症を抑えるはたらきがあるということです。

実は、これらのはたらきも

・血行が良くなる→身体が必要とする栄養分と水分が全身に送り届けられる
・炎症を抑える→皮膚のダメージが減るため、その分水分を保つはたらきを維持できる

といったように、肌の保湿に大きく関わっています。

とても大切なことなので、しっかりと覚えておいてくださいね。

一方のワセリンは、天然の石油を元にした材料を使った軟膏のことをいいます。
石油を元にしているため触ったときに少し油っぽさがあり、苦手に感じる方もおられるかもしれません。

ですが、実はこの油っぽさがワセリンの最大の武器なのです。

ワセリンがこの油っぽさを使って肌を保湿している理由を紹介していきます。

油っぽさが肌の保湿につながる理由

イメージしやすいように、料理に使う油を想像してみてください。

「フライパンについた油が、洗ってもなかなか取れない!」といった経験をしたことはありませんか?

これは、油が水に溶けにくいという性質を持っていることが原因です。

人間の肌に当てはめて考えてみましょう。

実は人間は、いつも肌の表面からカラダの水分を外に逃がしています。
その肌の表面へ油を塗るとどうなるでしょうか。

油は水に溶けにくいため、水分が油を通り抜けたくてもできません。
もはや肌から出ていく水分にとって、油は壁のような存在ですね。

こうなると、もう水分はその場に留まるしかなくなります。
まさにこの作用が、ワセリンの肌の保湿効果につながっているのです。


つまり、ワセリンは油が水に溶けにくい性質を利用して、肌からの水分の蒸散を防ぎ、肌の乾燥を防いでいるのです。

ここまで記事を読んで頂いた方のなかには、

Aさん
Aさん

ヒルドイドとワセリンのはたらきについて分かったけど、

初めて使うとなると…本当に大丈夫?

と、不安に思われた方もおられるかもしれません。

このような不安を解消できるよう、ヒルドイドとワセリンの注意点についても説明していきますね。

まずはヒルドイドについてです。

次のような疾患・状態にあてはまる場合、ヒルドイドの使用は避けてください。

ヒルドイドNG

①出血性疾患を指摘されている
②アレルギー反応を起こしたことがある
③妊娠している・授乳中である

ときには命に関わる大切なことなので、しっかりと押さえておきましょう。

出血性疾患をカンタンにいうと、「血が止まりにくい状態になっている病気」です。

疾患名を具体的にいうと、次のようなものがあります。

・血友病
・血小板減少症
・紫斑病
・播種性血管内凝固症候群


ヒルドイドは「ヘパリン類似物質」であり、血が固まらないようにはたらく多糖類でしたね。

病気によって血が止まりにくい状態になっているところに、血を固まりにくくするはたらきをもつヒルドイドを塗ると、どうなるでしょうか。

答えとして、さらに血が固まりにくくなりますね。

もしも怪我などで血が出たら、なかなか血が止まらない状態になってしまいます。
血が出続ける状態は、ときには命を危険にさらすこともあります

出血性疾患を病院で指摘されたときには、ヒルドイドを使わないようにしてくださいね。

今までにヒルドイドを使ったことはあるけれど、そのときにアレルギー反応を起こしてしまったという方は注意が必要になります

アレルギー反応が出るということは、ヒルドイドの何らかの成分に対して、「カラダにとって良くないものだ!」とカラダを守る免疫細胞たちが警戒しているということです。

この情報は、カラダのなかにインプットされるため、再び同じものを見つけると、免疫細胞が再びはたらこうとします。

そのため、一度アレルギー反応が起きた場合、二度目以降もアレルギー反応を起こす可能性が高いのです。

アレルギー反応には、

・くしゃみ
・涙目、目のかゆみ
・皮膚の発疹

など、たくさんの症状があります。

Aさん
Aさん

アレルギーかどうか分からないけど、

使ったときにいつもと違う症状が出た気がする,,,。

と心当たりがある方も、ヒルドイドを使うのは控えるようにしましょう。

こちらに関しては、「絶対に使用を避けてください」というわけではありません

ただ、妊娠・授乳中の時期にヒルドイドを使うことに対して、絶対に安心といえるほど十分な情報が公表されていません。

つまり、安全とは言い切れないのです。

それでも妊娠中や授乳中にヒルドイドを使用したい場合は、まずは医師に相談することを検討してみてください。

ご自身だけでなく、赤ちゃんの健康も守りましょう!

今後はワセリンについて説明していきます。

赤ちゃんからお年寄りまで幅広い年代で使えることが魅力のワセリンですが、次のような方は使うときに注意が必要です。

ワセリンNG

①アレルギー反応を起こしたことがある
②炎症反応を起こしている
③開封して時間が経ったワセリンを使っている

ヒルドイドと同様、大切な内容なのでこちらもしっかりと説明していきます。

アレルギー反応に関していうと、ヒルドイドと考え方は同じです。

ワセリンでアレルギー反応を起こしたことがある方は、使うことを控えてください

ちなみにワセリンでアレルギー反応を起こすことは稀です。

とは言っても、塗り薬などでかぶれやすい方やアトピー性皮膚炎の方は安心して使うためにも、一度パッチテストなど行ってからの使用をおすすめします。

炎症を起こしている肌の部位には、ワセリンを塗らないようにしましょう

これは、ワセリンがかえって炎症を悪化させる可能性があるためです。

ここで、肌の炎症の良い例であるニキビを想像してみましょう。

ワセリンがニキビを悪化させる理由

ニキビができている状態とは、肌の毛穴にアクネ菌と呼ばれる菌がたくさん増え、肌が炎症を起こしてしまっている状態です。

ワセリンは、水分が外に逃げていかないように肌を覆うはたらきがあり、毛穴までも覆ってしまいます。

となると、ニキビの部位にワセリンを塗ると逃げ道がなくなってしまうため、毛穴のなかの詰まりが悪くなった状態のままになりますね。

その結果、ニキビはさらに悪くなり、なかなか治らないという状況につながってしまうのです。

炎症を起こしている部位に関しては医師に相談し、肌の状態に合った保湿剤を処方してもらうことをおすすめします。

開封して長い時間が経ったワセリンはシミや色素沈着の原因につながる可能性があため、使わないようにしてください。

長い時間使用したワセリンは、不純物を多く含んでいる可能性が高いです。

原因としては、使うときに手についた不純物が混ざってしまったり、光に当たることで黒ずんでしまうことが挙げられます。

大切なのは、ワセリンを清潔に保てるようにすることです。

有効期限が過ぎたものは避けたり、直射日光が当たらないように冷蔵庫で保管するといった工夫を取り入れてみましょう。

ヒルドイドとワセリンは、作用によって次のように使い分けることができます。

・ヒルドイド→傷ついた皮膚を治すときに使用する(例:手荒れ・傷口の治療・炎症の軽減)
・ワセリン→予防的に皮膚を乾燥から守る(例:乾燥肌・手荒れ予防・軽い擦り傷の保護)

しかし、使い分ける方法はこれだけではありません。

同じヒルドイドやワセリンでも、実は形態や時間などによって使い分けることもできるのです。

使い分けのポイントについて、詳しく見ていきましょう!

まずはヒルドイドについてです。

ヒルドイドは、次のような種類の形態に分けることができます。

ヒルドイドの形態

①軟膏
②クリーム
③ローション
④フォーム

どの形態も、主な成分は同じです。

しかし、含まれる添加物の種類や量が異なるため、塗ったときの伸びや保湿力に違いが出てきます。

ヒルドイドの形態のなかでも、最も有名な形態です。

白いクリーム状となっており、しっとりした塗り心地が特徴的です。

ただ、ワセリンなどの油分も多く含まれているため、塗ったときの伸びはあまり期待できません。

とはいっても、その分保湿力は抜群です。

その保湿力を活かし、医療機関でも乾燥肌だけでなく小さな傷の治療などにも使われています。

また、ヒルドイドの形態のなかでは一番肌への刺激が低いこともポイントです。

そのため、初めて塗る方や肌が弱い方にとっても、もっとも試しやすい形態となっています。

クリームは見た目は軟膏と同じです。

軟膏との大きな違いは、クリームは水分が多めという点にあります。

水分が多いため軟膏よりも伸びが良く、軽い感じで塗ることができます。

春や夏といった、湿気の多い時期に使用するのもおすすめです。

ローションは、乳液のようにサラサラとした使い心地が特徴的です。

水分が多いためとても良く伸びるだけでなく、毛がある部位にも使えるということも魅力的なポイントですね。

また、肌にすばやく浸みわたって保湿効果を発揮することから、広い範囲の乾燥肌や軽い皮膚の炎症に対して使用されています。

ただ、1つ注意しなければならないのは、ローションを使用すると稀に刺激を感じることがあるということです。

「肌がとても弱い」・「乾燥がひどい」といった場合は、まずは刺激の少ない軟膏やクリームから始めてみましょう。

フォームはスプレー缶に入っており、ヒルドイドのなかでは最も新しい形態になります。

油分が入っていないため、軟膏やクリームに比べてベタつきがなく、さっぱりとした使い心地が特徴的です。

スプレー缶から出した直後はきめ細かい泡状ですが、時間が経つにつれてだんだんと液体になり、とてもよく伸びます。

ただ、その分保湿力に物足りなさを感じるという意見もあるようです。

そういった場合は、部位別や時間別に種類を使い分けるというのも選択肢の1つですね。

形態によって使い分けることができるヒルドイドですが、使い分けの方法は次のようにまだまだたくさんあります。

形態以外のヒルドイドの使い分け

①肌の状態
②使用する部位
③使用感
④時間帯

まずは、自分の肌の状態に合わせた選び方です。

肌がひどく乾燥していて、粉が吹いている
→かなり乾燥している状態なので、保湿性の高いクリームがオススメです。

肌はそこまで乾燥していないけど、広い範囲で保湿したい
→肌の状態はそこまで悪くない状態であれば、伸びの良くて塗りやすいローションを使用することで、広範囲に塗ることができます。

肌への吸収を早くしたい
→軟膏やフォームを使うと効率よく吸収することが可能です。

次に、身体のどの部位に塗るのかに合わせた選び方です。

からだ全体
→広範囲に塗る場合は、伸びが良くて肌へ馴染みやすいローションやフォームがオススメです。

特定部位
→手や腕、踵といった特定の部位で皮膚を保護したい場合は、保湿力の高いクリームや軟膏を使うと良いでしょう。

顔や頭皮に使用する場合、軟膏を使うとベタついてしまうため、クリームやローションを使うことで、塗りやすくテカりも少なくて済みます。

塗ったときの使い心地も、続けていくためには大事なポイントの1つですね。

さらっとした使用感のものを使いたい
→水分が多めのローションやフォームがオススメです。

しっとりした使用感のものを使いたい
→油分の多い軟膏がオススメです。もしくはクリームを使用しても良いでしょう。

最後に、忙しさに合わせた使い方も可能です。


→ローションやフォームを使用することで、忙しくて時間のない朝でも、さっと肌の保湿をすることが可能です。


→朝に比べると余裕のある夜の時間帯には、クリームや軟膏を使ってしっかりと保湿することがオススメです。

保湿は1日2回行ったほうが効果は高いといわれています。

それぞれの生活スタイルに合わせつつ、少しでも肌の保湿の時間を作っていきましょう。

今度はワセリンについてです。

ワセリンは、次のような種類に分けられます。

ワセリンの種類

①黄色ワセリン
②白色ワセリン
③プロペト
④サンホワイト

ちなみに、ワセリンにはヒルドイドのような形態のバリエーションはありません。

ワセリンの種類で押さえておくべきポイントは、純度の違いです。

しっかり押さえていきましょう。

黄色ワセリンは黄色っぽい見た目をしています。

値段が安いため手に入りやすく、ドラッグストアなどで購入することも可能です。

肌のかさつきや踵・肘などの保湿に使うことができますが、不純物が一番多く含まれているというデメリットもあります。

そのため、医療機関ではほとんど使用されていません。

また、肌の弱い方や赤ちゃんに使用すると、不純物による刺激やかぶれを生じる可能性があるため注意が必要です。

ワセリンのなかで一番有名な種類です。

一般的に知られているワセリンは、こちらの「白色ワセリン」を指します

黄色ワセリンよりも純度が高く、肌の弱い方や赤ちゃんにも使うことが可能です。

そのため、医療機関でも使用されています。

プロペトは、白色ワセリンの純度をさらに高くしたものです。

プロペトも白色ワセリンと同じく、ドラッグストアだけでなく医療機関でも使用されていますが、どちらを使うかは患者さまの肌の状態に合わせて処方されています。

使い心地としては、ワセリンよりも柔らかくて伸びも良いです。

肌に優しいため、目の周りや唇といった肌のデリケートな部分にも使うこともできます。

サンホワイトは、ワセリンのなかで最も純度が高いものです。

そのため、使い心地や伸びもとても良く、肌への刺激も少なくてすみます。

ここまでお話すると、

Aさん
Aさん

純度が一番高いサンホワイトがいいに決まってるじゃん!

と思われる方もおられるしれません。

しかし、純度が上がれば上がるほど、値段も高くなってしまいます

値段が安くても十分効果が期待できるので、コストと肌の状態を考えながら種類を選ぶようにしてくださいね

ワセリンを塗るときに大事なポイントは、塗る前に肌にしっかり水分を与えておくことです。

保湿には水分が必要です。

しかし、ワセリンには水分を補給するはたらきがありません。

ワセリンを使う前に、化粧水や乳液を使ってしっかりと水分を補給しておきましょう。

ワセリンの塗り方は、次の順番で塗ると保湿効果を期待できます。

効果的なワセリンの塗り方
  1. お風呂で肌を清潔な状態にする
  2. 化粧水や乳液でしっかりと保湿する
  3. ワセリンを少量手に取り、手で温める
  4. 気になる部位へ馴染ませるように塗る

塗りすぎるとベタベタしてしまうため、一度に手に取る量は少なめにして、物足りなければ追加するることもポイントです。

実はワセリンは、肌の保湿以外にも効果を発揮できる場面があります。

それがこちら!

花粉症
→ワセリンの油でつくられた膜が花粉をキャッチし、カラダのなかへの侵入を防ぐことから、花粉症対策につながると考えられています。

使うときは手を洗って清潔な状態にした上で、目の周りを一周するように塗りましょう。

このとき、ワセリンが目に入らないように注意してくださいね。

靴擦れ
→ワセリンを足に塗ることにより、摩擦から肌を守ってくれます。

当たって痛い部分などに塗るようにすると効果が期待できますよ。

練香水
→練香水とはワセリンに香料をつけた、固形の香水です。

好きな部位に塗ると、だんだんと固形のワセリンが溶けてきて、それと同時に放たれる香りも楽しむことができます。

もちろん保湿効果もあるため、保湿とリラックスが同時に楽しめるところも魅力的ですね。

意外と感じるものもあったかもしれません。

このように、ワセリンはさまざまな場面で活躍しているのです。

ヒルドイドとワセリンの違いで主なポイントは、

ヒルドイド
・水分を取り込んで保湿する。
・形態によって、使い心地・保湿力が異なるため、自分に合った形態を選ぶことが大切である。
・出血しやすい方は使用を控える。

ワセリン
・水分を逃がさないようにして保湿する。
・刺激が少ないため、赤ちゃんからお年寄りまで使用することができる。
・水分を取り込むはたらきはないので、使う前に肌に水分を与えることで効果を発揮する。

ということでした!

肌の状態に合わせた保湿剤を使わないと、効果は期待できません。

今回お伝えした情報をふまえて、どちらが自分に合った保湿剤なのか考えてみてくださいね。

今回の記事によって、少しでも皆さまのヒルドイドとワセリンについての理解を深めるお手伝いができたのであれば幸いです。

ここまでご覧頂き、ありがとうございました。

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